2021年、どうなる大学入試? 緊急提言:それでも4技能は必要である!

中学生・高校生諸君が英検を取得したほうがよい理由とは?2020年度より予定されていた民間英語試験の成績提供システムが見送られるなど、まさに混迷を極める日本の大学入試制度。「これで英検は必要ない」と安堵している場合ではない。急速なグローバル化の波に飲み込まれる日本で10年後をサバイバルするために、今の中学生・高校生が身につけるべき力とは何か?

中学生・高校生諸君が英検を取得したほうがよい理由とは?

授業の様子

2020年度より予定されていた民間英語試験の成績提供システムが見送られるなど、まさに混迷を極める日本の大学入試制度。「これで英検は必要ない」と安堵している場合ではない。急速なグローバル化の波に飲み込まれる日本で10年後をサバイバルするために、今の中学生・高校生が身につけるべき力とは何か?

日本人の英語スピーキング力は、なんとアジア最下位!

TOEFL iBT 2018年国別平均点の表

右の表は、アジア諸国のTOEFL(英語の4技能を測る国際的なテスト。アメリカなど英語圏の大学・大学院に入学する際の指標として広く使用されている)の点数ランキングだ。日本は29カ国中、下から3番目。スピーキングに至っては最下位という惨憺(さんたん)たる実情である。さすがに上位は英語を公用語とする国がランク入りしているが、お隣の韓国(9位)や中国(19位)と比べても、大きく遅れをとっている。
 本格的な高齢化と深刻な労働者不足で、すでに海外から多くの労働者が流入し、また多くの企業が海外に拠点を構えている中で、これからの日本人にとって、世界(とりわけアジア)の共通語である英語が使えることは、生き残りのために必要不可欠なことは言うまでもない。

英語スピーキング力と大学入試の関係

授業の様子2

文科省もこれに手をこまねいてきたわけではない。2008年から小学校5,6年生に英語を導入し(韓国は1997年より小3以上で英語を必修化している)、高校では「英語の授業は英語で教える」と指導要領に盛り込んだ。にも拘わらずである。

これだけ「コミュニケーション能力の育成」を掲げてきたのにその成果が出せなかった理由は、ズバリ文法・日本語訳に偏重した「大学入試」であった。つまり、どれだけ中学・高校の先生がコミュニケーション力を育成するような指導をしたくても、「それでは受験に受からない」との理由で現実では歓迎されないのである。逆を言えば「大学入試」が変われば、学校教育も変わり、コミュニケーション力を培う英語教育が可能になるという訳だ。文科省が躍起になって(民間英語試験の活用を導入してでも)大学入試を「4技能化」したかった理由は正にここにある。「英語が話せる日本人」を育てることは、日本の国力を維持するための大きな課題なのである。

ただ、いつの世も『改革』には反発がつきまとう。この民間試験活用案には、価格的・場所的な公平性に欠けるなど、制度としての甘さも勿論あるが、やはり強かったのは高校からの大きな反発であった。長年「受験英語」を指導してきた高校や塾、予備校の現場からすれば、民間試験で測られるスピーキングやライティングに対して、どう指導してよいのかが分からないという戸惑いが大きかった。実際、多くの高校では「英語の長文を日本語にただ訳す」という、半世紀前と変わらぬ「受験英語」指導が今もまかり通っているのである。

加速化する英語4技能の普及 ~高校入試、大学入試、就職試験・昇進試験~

~高校入試~

逆に、地方の自治体に委ねられている公立高校入試においては、「英語4技能」への対応が急速に進んでいる。大阪府の高校入試の「発展的問題」では、2017年度よりリスニングとライティング(英作文)の配点が全体の50%に引きあげられ、リーディングについても1分間に読むべき単語数を2.7倍にするなど、「英語を英語で考える」力を問う問題となった。東京都も、2020年度より都立高校入試にスピーキングテストを導入することを発表した。(高校入試について、詳しくは〇ページの特集を参照)その他の都道府県についても、リスニング問題とライティング問題の配点が上がり、より英語での発信力が問われる傾向にある。

~大学入試~

民間試験の成績提供システム活用は延期されたが、センター試験にとってかわる「大学入学共通テスト」は予定通り2020年度から実施される。リスニングの配点率が20%から50%へと大幅に増え、筆記問題も「リーディング」として生まれ変わり、発音やアクセント、語句整序などの単独問題は一切なくなり、大量の長文(または資料)をスピーディーに読んで理解する問題中心となる。

大学入試センター試験、大学入学共通テスト比較表

これは、英検やTOEICなどと非常に似ていて「英語を英語のまま、即時に読み取る(聴き取る)力」を測る問題となっている。つまり、2技能テストでありながら、最大限「コミュニケーション能力」を測ろうとしているのだ。今までのような「受験テクニック」は通用せず、机上の勉強だけではとても太刀打ちできなくなるが、英検2級~準1級の問題に対応できる4技能力がある生徒は、特別な準備をしなくてもかなりの高得点を狙えるだろう。

また、依然として多くの大学が英検などの民間試験を活用した優遇制度を入試時に設けているのも忘れてはならない。
特に一般入試については、2016年からの4年間で、英語外部検定を入試に利用した大学数は4倍近く増加している。英検取得を出願資格にしていたり、得点換算したりと形は様々だが、この傾向は今後ますます加速化するであろう。

英検優遇措置を設けている大学のリストはこちら(2019年度入試)>>

就職と昇進、年間収入までもが英語力で決まる!?

言うまでもなく、英語での発信力が本当に求められているのは、社会に出てからだ。
楽天や、ファーストリテイリング(ユニクロ、GUを運営)、アサヒビール、資生堂が英語を公用語にしているのは有名だが、その他にも実際、多くの企業が採用や昇格の際に、一定のTOEICの点を求めている。もはや、英語ができないと入社も出世もできない社会になりつつあるのだ。

採用時に求められる英語力(TOEIC)表

おおまかに言うと、入社の際にはTOEIC700点程度(英検2~準1級レベル)が求められ、社内でより責任のある立場だと、TOEIC800点以上(準1~1級レベル)が求められる。TOEICはかなりビジネス英語的要素が強いので、より一般的な英検準1級を取得してからTOEIC対策を行うのが最も効率的と言われている。
さらに、情報サイト開発・運営の株式会社キャリアインデックスの調査では、年収700万円以上の人は約半数(48.7%)が英語での日常会話や読み書きが出来ると回答した。年収500万円から700万円未満の人では34.0%、年収500万円未満では22.4%となり、英語力と年収の明らかな相関が見られる結果となった。

英語力と年収の相関関係の表

なぜ「英検」なのか?

このように、英語4技能力、とりわけ発信力(スピーキング、ライティング)は、将来のあらゆる面で必要となってくる。せっかく文法を学校で習ったならば、それを使ってリスニングやスピーキング、作文力を鍛える練習をしておいたほうが断然有利だ。
そして、話す・聴くといったスキルは、年齢が高くなればなるほど難しくなると言われている。吸収力と学習スキルが高い中学生・高校生のうちに学校の勉強と並行して話す・聴くの「実技トレーニング」をしておくのが理想である。また、いわゆる「学校英語」と「実践英語」の橋渡しとして、2次面接も行われる英検はかなり有効である。
多くの企業ではTOEICの点が参考とされているが、TOEICは、初学者からかなりの上級者までが同じ問題を受けることになる。英語力のモノサシとしては優れてはいるが、初級者はかなり難しい問題に苦心してしまう。その点、英検は受検者のレベルによって7段階の問題が用意されているので、学習ツールとしても非常に優れているのだ。
サイエイの多くの先輩のように「中学生で英検2級、高校生で準1級」を目指せば、最高レベルの英語4技能を持って社会に出られるであろう。

サイエイ・インターナショナル 教務部

フジテレビニュース番組「Live News it!」でサイエイ・インターナショナルが取材を受けました。

テレビ取材を受けた様子

去る2019年9月11(水)フジテレビのニュース番組「Live News it!」にて、2020年度からの大学入試改革についてのニュースを報じた際「現在の英語塾での取り組み」「生徒はこれからどのような勉強をするべきか」という点について、サイエイ・インターナショナルふじみ野校が取材を受けました。

2021年度入試より『大学入試センター試験』から『大学入試共通テスト』に名称が変更され、入試内容が大きく変わります。英語民間試験を利用した<大学入試英語成績提供システム>の利用は見送られることになりましたが、これまでの2技能型(リーディング・リスニング)から4技能型(リーディング・リスニング・ライティング・スピーキング)への移行の流れはますます加速することでしょう。

テレビ取材を受ける講師