躍進する中国、韓国、台湾、インド 日本は?

躍進する中国、韓国、台湾、インド 日本は?

新聞やテレビなどで報道されているように中国、韓国などのアジア諸国の発展は目を見張るものがあります。日本が世界に誇っていた経済分野や教育の分野においても東アジア諸国の勢いは留まることを知りません。以下に具体的事例をご紹介いたします。

1.経済分野

①テレビの世界市場占有率比較(%)(東洋経済 2011年2月19日号より)

TVメーカー2010年2009年
日系37% ↓48%
韓国系32 ↑21
中国系17 ↑6

日本の輸出産業の花形のテレビも、サムソン、LG電子などの韓国系が急速に世界市場の占有率を拡大しています。

②乗用車の中国市場占有率比較 (%) (藤樹ビジネス研究所、日本政策投資銀行各HPより)

自動車メーカー2010年対 2002年2009年2005年2002年
中国系45.70%44.30%38.30%18.80%
日系19.521.317.914.9
アメリカ系10.19.734.963.7
ヨーロッパ系17.216.9
韓国系7.57.98.70.3

日本の自動車業界が円高で苦しんでいるのに対し、中国系、韓国系メーカが技術力の向上などでシェアを伸ばしています。

③輸出額比較 世界各国の輸出額 上位15((財)国際貿易投資研究所HPより)

国名順位2010年順位2000年輸出額増加倍率 2010年÷2000年
中国1↑1.6兆ドル72,500億ドル6.3倍
アメリカ2↓1.3兆17,800億1.6
ドイツ3↓1.3兆25,500億2.3
日本4↓7,700億34,800億1.6
フランス5↓5,200億43,000億1.7
オランダ6↑4,900億92,100億2.3
韓国7↑4,700億121,700億2.7
イタリア8↑4,500億82,400億1.9
ベルギー9↑4,100億111,900億2.2
イギリス10↓4,100億52,800億1.5
ロシア11↑4,000億151,100億3.8
香港12↓3,900億102,000億1.9
カナダ13↓3,900億62,800億1.4
シンガポール14←3,500億141,400億2.6
メキシコ15↓3,000億131,700億1.6
世界14.9兆ドル6.4兆ドル2.4

世界の工場といわれる中国は、2000年から2010年の10年間で輸出額を6.3倍、順位も7位から1位へと驚異的な伸びを示しています。

2. 教育分野

①アメリカの大学へのアジア人留学生数推移 (本川裕氏の社会実情データ図録HPより)

 2008-20091995-199613年間の増減
インド① 103,260人⑤ 約31,000人約330% ↑
中国② 98,235人② 約40,000人約250% ↑
韓国③ 75,065人③ 約35,000人約210% ↑
日本④ 29,264人① 約47,000人約 60% ↓
台湾⑤ 28,065人④ 約32,000人約 90% ↓

科学において世界で最も先進的といわれるアメリカの大学で学位をとることはその国の将来の科学技術力の指標となります。インド、中国、韓国はこの13年間で留学生数を2倍から3倍に増やしています。それに対し、日本は米国への留学生数を大幅に減らしています。その理由としては、日本の経済不振による所得の減少、若者の気質の変化なども考えられますが、留学生の選考に使われるTOEFLの試験形式変更(ペーパーテストからインターネットテストへ)で日本人の得意な文法問題がなくなり、代わりに日本人が不得意なスピーキングが追加されたことが影響していると思われます。

② アジア5カ国の米国留学生のアカデミックレベル( 同上HPより)

 大学院生大学生その他
インド68.815.116.1
中国58.526.714.8
韓国33.949.416.6
日本21.557.321.2
台湾54.625.519.9

インド、中国、台湾では大学院生が多く、留学生のレベルの高さを表しています。
それに対して日本は学部レベルが6割近くを占めています。また、日本人は文化系を学ぶ学生が多いのに対し、他のアジア諸国は工学、理学、医学などの理科系が多数を占めています。上記の留学生数の減少と同様に日本の科学技術力の将来が危惧されます。

③ アメリカでの大学博士号取得者の出身大学別人数 (米国国立科学財団報告)

順位米国での大学博士号取得者の 出身大学名博士号取得者数
1中国清華大学571人
2中国北京大学507
3米国カリフォルニア大学バークリー校427
4韓国ソウル大学393
5米国コーネル大学308
12米国ハーバード大学241
15台湾国立台湾大学226
17韓国延世大学193
27中国復旦大学163
27中国科技大学163
425日本東京大学23

最先端科学を担うアメリカの大学での博士号取得者数は、その国の将来の科学技術発展のバロメータです。100名以上輩出している中国の大学は、上記4校のほかに南京大学(155人)、南開大学(147人)、上海交通大学(144人)があり、計7校もあります。日本は100名を越える大学はありません。

④ アメリカでの大学博士号取得者の出身国別人数 (米国国立科学財団報告)

アメリカを除く世界各国 16,812人の内訳 太文字はアジア諸国

順位国名人数順位国名人数
1中国5,0026トルコ559
2インド2,2287日本330
3韓国1,5298タイ275
4台湾7559ロシア269
5カナダ62910ドイツ237

中国、インド、韓国などは、国を挙げて戦略的にアメリカに学生を送り込み、科学技術発展に取り組んでいます。中国の優秀な学生が大量にアメリカ留学し、アメリカと中国の関係性が深まることは日本の存在感が希薄になることにつながります。

⑤ 国際学生科学フェアの各国入賞者比較 2011年開催 (Intel International Science and Engineering Fair HPより作成)

インテル主催の高校生を対象とした世界最大規模の科学コンテスト(1950年発足)
賞金:75,000ドル(約600万円)、50,000ドル(約400万円)から500ドルまで多種類の賞がある。

順位国名 太字はアジア大賞、部門賞受賞者数入賞者数 合計 
1アメリカ15多数地元
2カナダ017
3中国117科学技術大国に向かっている
4ブラジル012
ロシア012
6インド110
7台湾08人口2,300万
8韓国16
9シンガポール06人口500万でこの好成績
10チェコ05人口1,000万でこの好成績
11日本04
メキシコ04
13タイ22大賞1、部門賞1は立派
他省略

将来の科学者や技術者の層の厚さがこのコンテスト入賞者数で推測できます。やはり中国、インド、台湾、韓国、シンガポール、タイなどのアジア諸国の勢いがそのまま表われています。日本人高校生の英語でのプレゼンテーション能力も、評価に影響しているかもしれません。

⑥ 日本と韓国のTOEFL点数比較  120点満点(Ivy league English com. HPより)

  2006200720082009
日本ポイント65656667
アジアでの順位28位/28国29位/30国28位/30国29位/30国→
韓国ポイント72817881
アジアでの順位18位/28国12位/30国11位/30国8位/30国 ↑

日本は4年間、ポイントも順位もほとんど変化がありません。それに対し、韓国はポイントも順位も大きく伸びています。①の日本人留学生減少の項目でも述べましたが、TOEFLテストの文法問題削除、スピーキング問題追加も影響していると思われます。

まとめ

日本人大学生の国際的競争力は、英語力、知的レベル、気質、勉強量などにおいて他のアジア諸国の学生に後れを取りつつあります。ユニクロ、パナソニックをはじめとする日本企業も日本人よりも外国人を多く採用し始めています。
特に、中国の大学生や日本にいる中国人留学生の採用が目立っています。その理由は、語学力(中国語、英語、日本語が使える)と勉強に対する集中力に大きな差があるからです。

かつて日本における外国人労働者といえば、低賃金労働が中心でしたが、現在では専門職、技術職の分野で修士や博士号の資格を持った外国人が増えつつあります。今までは日本人同士の競い合いでしたが、これからは知的水準の高い外国人と競い合うことを考慮する必要があるでしょう。その結果、逆に日本人が海外に職場を求めざるを得ない状況が出てくるでしょう。

海外で働く場合はもちろん、日本国内で働く場合でも今まで以上に個人の競争力(語学力、理数の力、修士などの高学歴など)を高める必要があります。いずれにせよ日本の教育の国際競争力を高める根本的な改革が必要かもしれません。ただし、その場合も公教育の力に頼るだけでなく、一人ひとりが自助努力で能力向上を図ることが求められています。

サイエイ・インターナショナルでは、生徒の皆さんが国際競争力のある英語力を身につけられるよう、更に授業の改善努力に邁進してまいります。
また、「英語を身につける」のが最終目標ではなく、「英語を使って世界中の人々とコミュニケーションを取り、自分の考えを伝え、様々な分野を英語で学ぶことができる」そのような生徒たちを、たくさん育てたいと考えております。

順位車名順位車名
1トヨタ・レクサス CT200h6トヨタ・レクサス ES
2ホンダ・CR-Z7日産・タイタン
3日産・インフィニティ QX568ホンダ・フィット
4トヨタ・サイオン xD (日本名ist)9トヨタ・プリウス
5トヨタ・ハイランダー10トヨタ・RAV4

* 最後に日本にとっていい話をお知らせします。ロサンゼルスタイムズ10月26日のWEB版によるとアメリカの消費者向け雑誌のコンシュマーレポート(公正さを守るために企業からの広告を掲載しない雑誌)は、アメリカで販売されている車の中でもっとも信頼されている車ベスト10を全て日本車が独占した記事を掲載しました。この地位を守るためにも日本の科学技術は更に発展する必要があります。それには個人の能力向上が不可欠です。