「大学入学共通テスト」を斬る! 

共通テスト高得点獲得法をDr.Tomoが教えます。

Dr.Tomo

去る1月16日17日、初の大学入学共通テストが実施されました。英語は出題傾向が大きく変わり、SNS上では「長文が終わらなくて大変!」「リスニングが難しすぎる!」といった声が多く寄せられています。一方、普段から英検の問題に慣れ親しんでいる私の生徒の多くは「英検に似ていて解きやすかった」とのことでした。
今回は、普段から英検と大学・高校受験を並行して指導している私が、大学入学共通テストについて独自に分析し、英検学習との相違点や、受験対策についてお話ししたいと思います。


 大学入学共通テストとは 英検との比較

高校卒業程度とされる英検2級[2020年度第2回試験]と令和3年度大学入学共通テスト(以下共通テスト)を比較してみました。

大学入学共通テストと英検の比較表
比較項目 大学入学共通テスト 英検2級
試験時間 筆記80分+リスニング30分
合計110分
筆記85分+リスニング25分
合計110分(ライティング含む)
問題数 筆記47問+リスニング37問 筆記38問+ライティング1問+リスニング30問
単語数 筆記5,340語
リスニング1,528語
筆記2,576語
リスニング2,759語
リスニング
読み上げ回数
2回、1回の問題が混在 すべて1回

■単語数

両テストの違いが際立つのが単語数です。共通テストは1題当たり平均で113.6語読まなければいけないのに対して、英検2級は67.8語でした。共通テストは2倍弱読む量が多いことになります。
それに対してリスニングでは英検2級の単語数が多く、共通テストのおよそ1.8倍にも達します。さらに共通テストでは問題一部の問題で音声が2回流れるのに対して、英検2級はどの問題でも1度しか流れず、指示もすべて英語のみになります。

■難易度

共通テストは英検2級と比較して英語自体の難易度に大きな差はないという印象を持ちました。ただし、限られた時間内に読む文法や語彙をたずねる短文問題がなくなり文章問題のみになりましたので、幅広い単語力がないと対応が難しいのは間違いありません。新しい試験に変わったばかりですので、問題形式の違いに戸惑った受験生が多かっただろうことは想像に難くありません。発音・アクセント問題、文法・語彙問題だけに特化して得点源を作るような従来のやり方では対抗できなくなりました。今後問題形式に慣れていけば、もともと英語の4技能総合力(特に速読力、リスニング力)の高い生徒には間違いなく得点しやすい試験になると考えます。

 ☆☆☆ 共通テスト英語で高得点を獲得するには

前述のように、英語力という意味では、英検2級程度の力で大丈夫ですが、読むスピードと量、情報整理能力を考えると、普段から英検準1級に慣れておくくらいの力があれば安心して対策できると思います。「様々な文章から概要や要点を把握する力や必要とする情報を読み取る力等を問うことをねらいとする」という大学入試センターの作成方針からも、英語力と情報処理能力が欠かせません。その「英語力」とは次のような力です。

①速読力をつけるべし

日ごろから音読スピードを意識的に上げておきましょう。英文を日本語に訳すのではなく、前から固まりごとに意味をとる訓練をする必要があります。

②語彙を大幅に増やすべし

英⇒日の瞬発力、単語ネットワーク力(同類語・反意語・多義語など)が大切です。単語リストや単語帳を使って英語から日本語へ即変換できるように練習をしておくべきです。同類語や多義語など語句の知識を整理しながら記憶していくとよいでしょう。そうすることで問題文や文章中の言いかえ表現(例:has become less safe=safety has decreased)にも対応できるようになります。

③英検準1級レベルの文章の読解力をつけるべし

共通テストでは、大量の文章を限られた時間内で読み進める力が要求されます。使われている英語自体の難易度は英検2級程度ですが、量・スピードを考えると英検準1級程度の力が求められています。学校教科書だけでは読む練習量が不足してしまいます。英検などを利用して多くの文章を読み、様々なタイプの文章に対応できる力をつけていきましょう。

④リスニング力をつけるべし

共通テストでは、200点中100点がリスニング問題です。1回しか読まれない問題も増え、中には「留学先で、大学の授業を英語で理解する」くらいの高度な力が要求される問題もあります。これは多くの受験生が不得手とするところで、逆を言えば最も得点差をつけるチャンスともなります。
英検2級~準1級のリスニング問題を何回も聞いてシャドウイング(音声と同時に一緒に口を動かす練習)することが最もお勧めの勉強法です。また、他の人とペアで会話練習をすることも「英語脳・英語耳・英語口」を育てる良い方法です。
さらに、共通テストのリスニングに対応するためには、米国のみではなく、英国、アジア系など様々な国の発音に慣れておく必要があります。より日常に即した場面を想定した会話練習をするなど、多くのネイティブの読み上げ音声を利用し、自分でも音読しながらたくさん読むという訓練があるとさらにいいでしょう。

 まとめ

最後に、今回の大学入試問題の改訂もしかり、中学校の教科書の大改訂もしかりですが、今後はますます「4技能」が入試にも求められるようになってきたことを実感しています。
リーディングでもリスニングでも、大量の情報を瞬時に理解すること、つまり「日本語を介さず、英語のまま理解する」力が求められます。幅広い「単語力」が大きな得点力の差となります。逆に従来のような「難しい(パズルのような)文法問題」は姿を消していくでしょう。英検準1級を取ることが共通テスト攻略にとって非常に重要になっています。
サイエイでは、普段から文法やリーディング練習とスピーキング練習を結び付けていますので、まさしく今後の受験トレンドに強い学習法と言えます。どうせ英語を習うなら、話せた方がいいし、受験にも役立った方がいいですね!